社債発行差金

商法上、認められている繰延資産のひとつで、社債の券面価格(満期時に償還しなければならない金額)と発行価格との差額のことをいいます。その差額を処理する科目が社債発行差金です。
社債発行差金は、社債を割引発行したときに生じる割引料といえます。
社債券面額に対する約定利子率を名目利子率といい、名目利子率で計算された実際の利息額の社債発行価額に対する割合を実効利子率、または利回りといいます。
社債発行にあたり約定利子率が市場利子率よりも低いと社債の応募者を求めることが困難となります。そのため、約定利子率と市場利子率との差は社債の発行価額を引き下げることにより調整されます。

●社債発行差金の償却について
上記のように、約定利子率と市場利子率との差に相当する額だけを調整する目的で割引額が定まるため、社債発行差金は社債償還期日までの社債利息の前払いという性質を持ちます。他の繰延資産とは性質が異なるため、理論上は繰延資産とせず、社債の評価勘定として表示します。その償却は、利回り法で行うことが望ましいとされています。
・利回り法とは、社債約定利息と各期首における社債の帳簿価額に実行利子率を乗じた実効利息との差額を債却する方法です。

●商法と税法における社債発行差金の償却
社債発行差金は繰延資産の一部とされるため、商法上は償還期間内の均等償却が求められています。
税法では、任意償却による課税所得の操作を回避するため、割引債および縁故者募集などによる利付債について期間均等償却を義務づけています。