資本取引

企業会計において、事業のための資金の手元である資本を直接変動させる取引のこと。株式の発行、増資や減資、準備金の資本組入れなど、株主持分を直接増減させる取引です。

資本取引に対して、営業活動によって生じる変動を損益取引といいます。 財政状態および経営成績の適正な表示のために、資本取引と損益取引は厳密に区分しなければなりません。

●資本取引の例
資本取引には、資本の直接的な拠出取引と、その増減取引(合併、減資など)があり、具体的には以下のようなものがあります。

・会社設立時における株式の発行
・会社設立後の新株発行(増資)
・減資
・株式の消去
・社債の発行と償還
・転換社債の株式への転換
・借入金の借入と返済

●資本取引と損益取引の区分について
企業会計原則では、第一の一般原則三において「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」と規定されています。損益取引と資本取引の区分の原則は、資本を利益としてしまうことや、利益隠しといった不健全な経理操作を防ぎ、企業財務の健全性を保つために要請される原則です。そのため、資本取引と損益取引を明瞭に区分し、そこから生ずる剰余金を区分しなければなりません。これは、 余金区分の原則ともいいます。

また、税法上・税務上においても、資本取引と損益取引を区別することは重要です。その理由は、法人税は利益(所得)に対して課税するものであり、資本課税(元手)に対しては非課税となるからです。