給与所得者であるサラリーマンは、ほとんどの場合、確定申告を行う必要がありません。給与の支払
者である会社が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了するためです。しかし、サラリーマンであっても義務として確定申告が必要になる場合があります。
●確定申告が必要な場合
以下の場合、サラリーマンであっても原則として確定申告を行う必要があります。
◎給与収入が年間2,000万円を超える人
◎1ヵ所から給与をもらっている人で、副業など給与所得以外の所得が20万円を超える人
◎2ヵ所以上から給与をもらっている人で、年末調整をされなかった給与の収入金額と、給与所得およ
び退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人
※ただし、給与所得の金額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄付金控除、基礎控除を
除く)を差し引いた金額が150万円以下で、各種所得の金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円以下の人は、申告する必要はありません。
◎同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金
の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
◎給与について、災害減免法により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人
◎源泉徴収義務のない者から給与などの支払を受けている人
●所得の合計金額についての注意
以下の場合は、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額には入りません。注意しましょう。
・配当所得のうち、確定申告不要制度を選択したもの
・源泉徴収を選択した特定口座内保管上場株式などの譲渡による所得で、確定申告不要制度を選択したもの
・雑所得のうち源泉分離課税とされる割引債の償還差益
・利子所得や配当所得で源泉分離課税とされるものなど
●確定申告をすれば税金の還付を受けられる人
サラリーマンで、確定申告をする義務はなくても、申告すれば税金の還付を受けられる場合がありま
す。以下の場合は、税金の一部が戻ってくることもあるので、所得についてはもちろん、結婚や住宅の購入など自分の生活状況について確認してみましょう。
◎給与所得がある人で、雑損控除、医療費控除、寄付金控除、住宅借入金といった特別控除などを受けることができる人
◎給与所得がある人で、年の途中で退職し、その後就職をしなかったため、年末調整を受けていない人
◎退職所得のある人で、以下のいずれかに該当する人
・退職所得以外の各種の所得金額の合計額から所得控除の合計額を差し引くと赤字になる人
・退職所得などの支払いを受ける際に、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったため、20%の税率で源泉徴収され、その源泉徴収税額が正規の税額を超えている人。
・予定納税を行ったが、廃業などで確定申告の必要がなくなった人
◎年末調整に間に合わなかったものがある場合
・年末調整後に子どもが生まれた人は、扶養控除が適用できます。妊娠・出産に関する医療費については、医療費控除の対象になります。
・年末調整後に結婚し、扶養家族が増えた人の場合は、扶養控除が適用できます。
●各控除を受ける際の注意
◎確定申告で各控除を受けるには、上記以外にもさまざまな条件があります。
◎上記以外にも確定申告で税金の還付が受けられるケースもあります。
◎確定申告を行うことが得になるかどうかは一概にいえない場合があります。
村山由美子税理士事務所
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