所得税の計算方法

所得税の計算の仕組みについて紹介しましょう。所得税の計算は、段階的に計算をしていきます。その理由は、さまざまな種類の税金の控除や免税措置があり、一旦それらを計算し、総所得額から差し引いた金額に対して所得税の納付額の計算がなされるためです。

◎基本的な所得税は、以下のように5つのプロセスで計算します。
(1)給与などの所得(10種類)をそれぞれ計算し、合算する。
(2)各種所得控除(14種類)を所得金額から控除する。
(3)(2)で計算した所得税の課税対象額に所得税率をかけて、所得税の金額を計算する。
(4)税額控除を考慮し、申告する税金の額を計算する。
(5)納付する税金の金額を計算する。

◎第1のプロセスで計算した、個人の所得とみなされる所得は、以下の10種類です。
1.利子所得:給料(課税計算では給与所得から給与所得控除を差し引きます)
2.配当所得:銀行貯金の利子など
3.不動産所得:株・投資信託などの分配金など
4.事業所得:家賃収入など(必要経費を差し引いた額)
5.給与所得:個人での営業活動による収益(必要経費を差し引いた額)
6.退職所得:退職金収入(退職控除を差し引いた額の2分の1)
7.山林所得:収入金額から経費・特別控除を差し引いた額
8.譲渡所得:譲渡を受けた建物など
9.一時所得:収入から経費を差し引いた額
10.雑所得:退職年金所得

上記の10種類の所得をそれぞれ計算します。所得の計算は、原則として「収入−必要経費」です。10種類それぞれの所得を計算したら、それらを合算します。合算した所得のことを総所得金額といい、所得を合計して課税することを総合課税といいます。

◎10種類ある所得のうち、総合課税となるもの(所得を合算するもの)は、以下の7種類です。
1.利子所得
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
9.一時所得
10.雑所得

◎分離課税について
総合課税に対して、合算せずに分離して課税する分離課税もあります。分離課税となるもの(所得を合算しないもの)は、10種類ある所得のうち、以下の3種類です。
6.譲渡所得
7.山林所得
8.退職所得

◎総合課税と分離課税の違いについて
総合課税と分離課税は、所得の性質が異なるため、税金のかけ方が異なります。