所得税の計算は以下の5つのプロセスで行います。最後のプロセスは、実際に納付する
税金額の計算です。
【所得税を計算する5つのプロセス】
(1)それぞれの所得(10種類)を計算し、合算する。
(2)各種所得控除(14種類)を所得金額から控除する。
(3)所得税の金額を計算する。
(4)申告する税金の額を計算する。
(5)納付する税金の金額を計算する。
第4のプロセスでは、「所得税額‐税額控除=申告税額」という計算式で、申告する税
金額を計算しました。
この申告税額を確定申告の時期(2月〜3月)にそのまま納めるのではありません。なぜ
なら、サラリーマンの場合は、給与を受け取る時にすでに所得税が天引きされているか
らです。このように、収入の手取り段階で税金が天引きされることを源泉徴収といいま
す。所得税の源泉徴収額は、その月の給与の金額および扶養親族などの数によって異な
ります。
●所得税の源泉徴収と年末調整について
毎月の給与から天引き(源泉徴収)される所得税は、その給与が一年間一定の水準で、
継続して支払われることを前提に計算されています。そのため、結婚や出産などによっ
て年度の途中で扶養家族が増えることがあれば、毎月の天引きによって年間の所得税を
払い過ぎてしまうことになります。
また、給与収入がその年度の途中で急に増えた場合、天引きされている額だけでは年間
の所得税としては不足していることになります。
つまり、毎月、天引きされている所得税額はあくまでも概算です。そのため、給与を支
払う勤務先では、その年の最後の給与支払時に一年間の正しい税額を計算し、徴収し過
ぎの所得税があれば還付し、不足額があれば追加で支払うことになります。これが年末
調整です。
一年間が終わってから年末調整でさまざまな調整(所得控除、税額控除など)を行うこ
とで、初めて納税金額が確定します。
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●予定納税について
年度の途中で事業所得や不動産所得があった場合は、予定納税をしている場合がありま
す。予定納税とは、事業での儲けに対する所得税を分割で前払いすることです。その場
合は、実際に納める税金の額は、申告税額から源泉徴収税額や予定納税額を差し引いた
金額になります。
以上のことから、実際に納付する所得税の金額の計算式は次のようになります。
申告税額‐源泉徴収税額・予定納税額=実際の納税額
村山由美子税理士事務所
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