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社債利息

社債の債権者に対して支払う利息を管理するための勘定科目。社債は株式とは異なり、社債を発行することによって資本を借り入れるものです。そのため、借入金となり、利息を支払う必要があります。一般の借入利息と区別するため、社債利息勘定を用います。

●社債利息の記載について
損益計算書上では、支払利息と同様に営業外費用として計上されます。
毎年定めた日に社債の債権者に対して利息を支払います。 社債の利払い日と企業の決算日が異なる場合、決算にあたり、利払い日の翌日から決算日までの利息の未払い分を未払い社債利息として処理します。

社債申込書

社債は、多額かつ長期の資金を調達する方法として活用されています。
この社債の募集に応じて申込みを行う場合、社債申込書にその引き受けるべき社債の数および住所を記載し、署名しなければなりません。

●社債申込書の記載内容
社債申込書は取締役が作成し、これに以下の項目を記載します。
(1)社債発行会社および社債管理会社の商号
(2)社債の総額
(3)各仕債の金額
(4)牡債の利率
(5)社債償還の方法および期限
(6)利息支払いの方法および期限
(7)牡債発行の価額またはその最低価額など

収益的支出

有形固定資産に対する支出のうち、資産の原状を維持、回復するための修繕・維持費用のことをいいます。収益的支出の反対概念が、資本的支出です。

収益

企業が商品を販売して得る売上収益、受取利息など、企業の純資産を増加させる要因のうち、出資などの資本取引を除いたものを収益といいます。
損益計算書では、この収益から費用を差し引き、利益を計算します。つまり、収益とは利益の源泉となる収入です。

収益還元価値

企業価値を評価する際に用いる基準のひとつ。企業が将来獲得すると予想される収益を、一定の利子率で割り引いて導き出します。

●収益還元価値を用いる場合
収益還元価値は、企業の合併で用いられることがあります。被合併会社の株式と、合併会社の株式を交換する際、その交換比率を両者の収益還元価値に基づいて決定します。

収益勘定

収益の発生を記録する単位のことを収益勘定といいます。収益とは、営業活動で得た収入のことで、主な収入には売上、受取手数料、受取利息、雑収入などがあります。

● 収益勘定の記録について
収益の発生は貸方に記載し、借方には消滅を記載します。通常、貸方に生じる残高は純発生額を意味します。 決算時に見越し・繰延べなどの決算修正がなされた後、損益勘定に振り替えて締め切られます。


収益事業

公益法人などが営む収益事業には、以下の2つの意味があります。

(1)公益を目的とする事業と収益を目的とする事業とに分けた場合の収益事業で、本来の公益事業を支えるため、資金の不足を補う公益補助事業を意味します。


(2)法人税法上の課税対象となる収益事業の意味があります。
法人税法上の収益事業とは、販売業や製造業など、継続して事業場を設けて営まれるものをいいます。
【収益事業の種類】
・物品販売業(宗教法人のお守りやお札の類の販売、学校法人の教科書など教材の販売は除く)・不動産販売業・金銭貸付業・物品貸付業・不動産貸付業(宗教法人の墓地の貸付等は除く)・製造業・通信業・運送業・倉庫業・請負業・印刷業・出版業・写真業・席貸業・旅館業・料理店業その他の飲食業・周旋業・代理業・仲立業・問屋業・鉱業・土石採取業・浴場業・理容業・美容業・興行業・遊技所業・遊覧所業・医療保険業・技芸・学力教授業・駐車場業・信用保証業・無体財産権の提供業

収益性分析

経営分析における手法のひとつ。企業が資金をいかに効率的に運用し、利益に結びつけているかを分析します。

●収益性分析の技法
収益性分析では、売上高と利益との関係の検討が中心となっています。
その分析技法としては、資本利益率や、その構成要素である売上利益率、資本回転率などによる財務比率分折があります。また、損益分岐点分析、利益増減分析などによる実数分析が使用されます。

収益の認識基準

収益をいつ計上するのかに関する基準をいいます。収益の認識基準に関する考え方は、発生主義、現実主義、現金主義に大別できます。

・発生主義
現金の収支・支出に関わらず、取引の事実が発生した時点で収益・費用を認識(計上)するという原則です。

・実現主義
実際の企業会計では、発生主義が厳格に貫かれているわけではなく、収益については実現主義が採用されています。
実現主義とは、発生主義の枠内で、収益の認識は債権の確定だけでなく、収益が実現した際に行うという原則です。

・現金主義
現金の収入・支出があった時点で収益・費用を認識(計上)するという原則です。掛け取引などの企業活動を正しくとらえることはできないとされています。

費用収益対応の原則

対応原則ともいわれる基本的な原則。特定の収益計上と、その収益を得るために要した費用とを同一の会計期間で計上する簿記上基本原則です。

●費用収益対応の原則の事例
昨年度に100円で仕入れた品を200円で販売した場合、売上200円とともに仕入れの原価100円も当年度に計上します。
昨年度中は、この品を販売していないため、収益を得ていません。この仕入れ代金を費用化せずに、棚卸資産(在庫)として資産計上しておきます。

収益的支出

有形固定資産に対する支出のうち、資産の原状を維持、回復するための修繕・維持費用のことをいいます。収益的支出の反対概念が、資本的支出です。

収穫基準

価格の安定した取引市場が存在する場合(金、銀など)や、事前の買取契約が締結されている場合(農産物など)に用いる認識計上基準のひとつです。
金や銀、農産物などは、販売または引き渡しを待たずに、生産の完了によって収益を計上することが認められます。このような生産基準を収穫基準と呼びます。

集合損益勘定

損益勘定、損益集合勘定とも呼ばれるもので、決算時に純損益を算定するために設ける集合勘定のことです。


●集合損益勘定の振替、仕訳について
費用勘定は、集合損益勘定の借方に振り替えられます。
収益勘定は、貸方に振り替えられます。

この振替を行った後の集合損益勘定の貸借差額は、貸方残高であれば当期純利差額をあらわし、借方残高であれば当期純損失額をあらわします。


●集合損益勘定の貸借差額について
個人企業であれば、決算振替仕訳を通じて、資本金勘定に振り替えられます。
法人企業であれば、決算振替仕訳を通じて、未処分利益勘定または未処理損失勘定に振り替えられます。

収支予算書

収支予算書とは、会社の設立後、どのように収入を得るのか、どのような経費が必要になるかなど、見込まれる収入・支出の内容を記載した決算書です。
収支予算書は円滑な事業運営のための備えとなります。事業運営は、必ずしも収支予算書通りに行う必要はありませんが、資金の流れをしっかりと把握できるようにしておきましょう。

修正テンポラル法

テンポラル法に修正を加えた考え方。決算日における外貨換算方法の考え方のひとつです。
日本では平成7年改訂前の外貨建取引等会計処理基準で用いられていましたが、実務上煩雑であるなどの理由から、現在は決算日レート法が適用されています。

●テンポラル法とは?
財務諸表に計上されている外貨額の属性(Temporal)に応じて換算レートを設定するという考え方です。


修繕費

企業会計において、貸借対照表で勘定項目が使われます。その中の販売費および一般管理費の部の仕訳のひとつが、修繕費です。
固定資産(事業用の建物、機械、器具、車両工具や備品など)に対する原状回復や現状維持のための費用です。修繕維持費の勘定項目に計上します。

●修繕費と資産計上
固定資産に対する修繕や改良工事でも、修繕費となるものと、資産に計上するものがあります。
・修繕費:修繕することで原状回復するための支出です。
・資産計上:修繕や改良工事によって、その資産価値が高まったり、使用可能な年数が延びるような支出をいいます。

●修繕引当金
将来、生じる修繕工事費に備えて計上する引当金のことをいいます。
修繕費の発生を継続的に見込む企業が、修繕工事にかかる支出を当期の費用として見積計上するもの。税務上は損金不算入となります。

重要性の原則

企業会計原則で一般原則とされていないものの、それに準ずる原則として企業会計原則注解で規定されている原則です。

企業会計は、定められた会計処理の方法で正確な計算を行います。その目的は、企業の財務内容を明らかにして、投資家など利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるため、重要性の乏しいものについては、簡便な方法での処理が認められています。

●重要性の原則の適用例(重要性が乏しいもの)
・文房具などの消耗品:未使用であっても買った時点で費用として処理する方法を採用できます。
・前払費用、未収収益、未払費用および前受収益:経過勘定項目として処理しないこともできます。
・引当金:計上しないことができます。
・棚卸資産の取得原価に含められる付随費用:取得原価に算入しないことができます。
・分割返済の定めのある長期の債権または債務:期限が1年以内に到来するもので、重要性の乏しいものは、固定資産または固定負債として表示することができます。

従業員数

正社員や正職員に加えて、非正規の社員(契約社員、嘱託社員、アルバイト、パートタイマーなど)も含んだ被雇用者の数をいいます。

●財務分析における従業員数について
財務分析での従業員数は、従業員の期中平均人員で計算されます。
有価証券報告書上の期末従業員数は乗用者のみで、パートタイマーなどの数は示されていません。

受託販売勘定

他社の商品販売を委託された場合、委託者に対する債権・債務を管理するための勘定項目のことをいいます。

●受託販売勘定の記入について
受託販売勘定の借方には、委託者に対する債権として引取費や販売諸経費の立替払い、販売手数料を記入します。
貸方には、債務として委託商品の販売代金を記入します。

借方は委託者からの受取分をあらわし、貸方は委託者への支払分をあらわしています。委託販売完了時に、その差額が決済されます。
委託商品の積送を受けたときは、その所有権は移転しないため、仕訳は必要ありません。

出資金

株式会社以外の企業(組合企業、合名会社、合資会社、有限会社)の組合員や社員による資本の拠出のことです。

● 出資金の会計処理
出資者が少数の場合は、出資者ごとに入名出資金勘定を設けて会計処理を行います。
出資者が多数の場合は、出資金勘定を統制勘定として会計処理を行います。さらに、各出資者ごとに出資者別元帳を設けて管理します。

● 株式会社が有限会社などに出資した場合
・企業会計原則では、出資金は投資その他の資産に属します。
・ 財務諸表規則では、出資金および関係会社出資金は、投資その他の資産に属します。
・商法施行規則では、流動資産ではない株式および社債、有限会社の社員の持分は、投資その他の資産の部に記載します。子会社の株式、または持分は他の持分と区別して、投資その他の資産の部に記載しますが、その額が重要ではない場合、注記によることを防ぐことはできません。